自由が丘の森鍼灸整骨院、院長の森です。
卵巣嚢腫とは、卵巣の中に液体や脂肪などの内容物がたまり、袋状になった状態です。多くは良性ですが、種類や大きさによっては定期的な経過観察や手術が検討されることがあります。この記事では、卵巣嚢腫の種類・原因・症状や一般的な治療法を整理したうえで、当院で大切にしている考え方や鍼灸でのアプローチについてご紹介します。
「健康診断で卵巣嚢腫が見つかった」「経過観察と言われたが、このままで大丈夫か不安」「手術を勧められたが、できれば避けたい」——当院には、こうしたお悩みでご相談いただく患者様が数多くいらっしゃいます。
〈卵巣嚢腫とは〉
「腫瘍」という言葉から不安になる方も多いですが、卵巣嚢腫の多くは良性です。一方で、大きくなると周囲の臓器を圧迫したり、卵巣がねじれてしまう「卵巣茎捻転」を起こしたりすることがあります。まれに悪性腫瘍との鑑別が必要になる場合もあるため、婦人科での定期的な診察が重要です。10代から高齢の方まで幅広い年代にみられますが、種類によって発症しやすい年齢は異なります。
〈卵巣嚢腫ができる原因〉
卵巣嚢腫は一つの病気ではなく、種類によって発生の仕組みが異なります。チョコレート嚢胞は子宮内膜症によって発生し(詳しくは[子宮内膜症の記事]もご覧ください)、漿液性嚢腫・粘液性嚢腫は卵巣表面を覆う細胞から発生すると考えられています。皮様嚢腫(デルモイド嚢腫)は、生まれつき卵巣内に存在する細胞が発育することでできると考えられています。「食生活が悪かった」「冷えたから」といった単一の原因で発症するものではなく、種類ごとに異なる発生機序があります。
〈卵巣嚢腫の4つの種類〉
◎漿液性嚢腫:透明でサラサラした液体が溜まるタイプ。無症状のまま健診で見つかることも多い
◎粘液性嚢腫:粘り気のあるゼリー状の内容物が溜まるタイプ。大きくなりやすく、定期的な画像検査が重要
◎皮様嚢腫(デルモイド嚢腫):髪の毛や脂肪、歯などが含まれる特徴的なタイプ。比較的若い年代にみられ、自然に小さくなることは期待しにくいとされる
◎チョコレート嚢胞:子宮内膜症により古い血液が溜まるタイプ。月経のたびに出血を繰り返し、徐々に大きくなることがある
〈主な症状〉
小さいうちはほとんど症状がなく、健診で偶然見つかることも珍しくありません。大きくなると、下腹部痛、腰痛、お腹の張り・圧迫感、頻尿、便秘、月経痛の悪化(特にチョコレート嚢胞)、性交痛などがみられることがあります。
◎卵巣がねじれる:「卵巣茎捻転」を起こすと、突然の激しい下腹部痛や吐き気を伴うことがあり、緊急手術が必要になる場合があります。
◎突然の強い腹痛が出た場合は、様子を見ずに速やかに医療機関を受診してください。
〈一般的な治療の考え方〉
治療方針は、嚢腫の種類・大きさ・症状の有無・年齢・妊娠希望・悪性が疑われる所見の有無などを総合的に判断して決められます。
◎経過観察:症状がなく悪性を疑う所見がない場合、定期的な超音波検査で変化を確認します
◎薬物療法:チョコレート嚢胞では低用量ピルやジエノゲストなどで進行を抑える治療が行われることがあります(すべての嚢腫に適応されるわけではありません)
◎手術療法:大きさだけでなく、症状や悪性の可能性、妊娠希望などを総合的に判断して検討されます
「〇cmだから必ず手術」という一律の基準ではなく、婦人科医と相談しながら決めていくことが基本になります。
〈鍼灸で期待できること〉
現在の医学では、鍼灸によって卵巣嚢腫そのものが縮小・消失することを示す十分な科学的根拠は確立されていません。一方で、月経痛や慢性的な下腹部痛など婦人科症状に対する補完療法として鍼灸が研究されており、痛みの軽減やQOL(生活の質)の改善が期待されるケースがあります。ストレスや睡眠の質の低下、自律神経の乱れは慢性的な不調の要因となることがあり、鍼灸ではお身体全体の状態を整えることでこうした症状の改善を目指します。
〈東洋医学ではどのように考える?〉
東洋医学では、卵巣嚢腫という病名だけでなく「なぜその状態になったのか」という身体全体のバランスを重視します。瘀血(おけつ:血の巡りが滞っている状態)、痰湿(たんしつ:余分な水分や老廃物が停滞している状態)、気滞(きたい:ストレスなどによる気の巡りの停滞)などが関係すると考えられており、当院では脈診・腹診を通してお一人おひとりに合わせた施術を行います。
〈森鍼灸整骨院の施術方針〉
脈診・腹診を通して東洋医学的な体質を把握し、月経周期・冷え・睡眠・ストレス・疲労の蓄積・食生活なども施術方針を決める要素として考えています。4mm程度の「置き鍼」を用いることで、施術後も刺激が持続するよう工夫しています。通院の目安は、初回から7回前後は7〜10日に1回、その後は10〜14日に1回ですが、お身体の状態に合わせてご提案します。
〈嚢腫の種類ごとの当院の考え方〉
| 種類 | 当院の考え方 |
|---|---|
| 漿液性嚢腫 | 婦人科での経過観察を継続しながら、身体全体の状態を整えることを目的に施術 |
| 粘液性嚢腫 | 定期的な画像検査を優先し、変化がないか慎重に確認しながら施術 |
| 皮様嚢腫 | 自然縮小は期待しにくいため、経過観察を続けながら全身状態の維持を目標に施術 |
| チョコレート嚢胞 | 子宮内膜症の一病態として捉え、婦人科治療と並行し月経痛・QOL改善を目的に施術 |
※施術は婦人科での診断・治療を置き換えるものではなく、補完的なケアです。
〈当院で経験した症例〉
婦人科での経過観察・治療と並行しながら鍼灸を継続された患者様の中には、漿液性嚢腫で数cmの縮小が確認された症例、粘液性嚢腫で長期間大きさの変化なく経過した症例、チョコレート嚢胞で婦人科治療と併用しながら画像検査で縮小が確認された症例などがあります。
ただし、これらは個々の症例であり、鍼灸によって嚢腫が縮小したと断定できるものではありません。経過には自然経過や薬物療法、生活習慣などさまざまな要因が関与する可能性があります。
※今後、患者様の同意を得たうえで、画像所見や経過を含めた症例紹介ページも順次公開していく予定です。
〈よくあるご質問〉
Q. 鍼灸だけで卵巣嚢腫は治りますか?
「鍼灸だけで治る、縮小すると断定できる科学的根拠はありません。当院では婦人科での治療を継続していただくことを前提に施術を行っています。」
Q. 経過観察と言われました。何もしなくても大丈夫ですか?
「経過観察は「放置する」という意味ではありません。婦人科で定期的な検査を受けながら、身体の状態を整える目的で鍼灸を取り入れる方もいらっしゃいます。」
Q. 妊娠を希望しています。鍼灸を受けても大丈夫ですか?
「妊娠をご希望の方にも施術を行っています。現在の治療内容を確認したうえで、婦人科での治療と並行して進めます(詳しくは[妊活・不妊鍼灸の記事]もご覧ください)。」
Q. 皮様嚢腫は自然に小さくなりますか?
「一般的には自然に小さくなることは期待しにくいとされています。婦人科での定期的な経過観察が重要です。」
Q. 手術後も鍼灸を受けられますか?
「術後の経過が安定していれば施術が可能な場合があります。主治医の指示を確認したうえでご相談ください。」
Q. 鍼灸は保険適用されますか?
「卵巣嚢腫への鍼灸施術は基本的に自費診療です。詳しい料金は[料金表]をご覧いただくか、お電話・LINEでお問い合わせください。」
〈まとめ・受診の目安〉
卵巣嚢腫は多くが良性ですが、種類や大きさによって治療方針が異なるため、まずは婦人科で正確な診断を受けることが大切です。突然の激しい腹痛がある場合は、様子を見ずすぐに医療機関を受診してください。
そのうえで「経過観察と言われたが不安がある」「婦人科に通いながら身体全体のケアもしていきたい」という方は、鍼灸という選択肢もあります。森鍼灸整骨院では、西洋医学による治療を尊重しながら、東洋医学の視点も取り入れ、お一人おひとりに合わせた施術をご提案しています。












